研究課題/領域番号 |
18590937
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 一夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301257)
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研究分担者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
八木田 佳樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20403066)
藤堂 謙一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40403068)
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キーワード | 脳虚血 / 側副血行 / 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 / 慢性低潅流 / 脳梗塞 / 脳軟膜動脈吻合 |
研究概要 |
マウス一側総頚動脈閉塞による慢性低潅流状態において、脳軟膜動脈吻合での側副血行路発達に及ぼす顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の効果を検討した。GM-CSFは骨髄よりの単核球を動員し、下肢虚血モデルでは血管閉塞部位より遠位での側副血行路を拡大することが報告されている。 マウス一側総頚動脈閉塞後、GM-CSF20μg/kgまたは生理食塩水を隔日に皮下注射し投与した。血管閉塞1週間後に、深ネンブタール麻酔下に開胸し経心臓的に墨汁加ラテックスビーズを注入した後、脳を取り出し脳表面での脳軟膜動脈吻合のサイズを観察した。対象として偽手術後にGM-CSFまたは生理食塩水を隔日に1週間投与したマウスを用いた。偽手術群ではGM-CSF投与と生理食塩水投与群との間に脳軟膜動脈吻合血管径に差が見られなかったが、総頚動脈閉塞1週間後のマウスでは生理食塩水投与群に比べGM-CSF投与群で有意な血管径の拡大が観察された。 次にマウス一側総頚動脈閉塞1週間後に、同側中大脳動脈を永久閉塞し作成される梗塞サイズに対するGM-CSFの効果を検討した。中大脳動脈閉塞1週間後に脳を取り出し1mm厚の冠状切片を作成しTTC染色により梗塞体積を算出した。偽手術群ではGM-CSF投与と生理食塩水投与群との間に脳梗塞容積に差が見られなかったが、総頚動脈閉塞1週間後のマウスでは生理食塩水投与群に比べGM-CSF投与群で有意な梗塞体積の縮小が観察された。 以上の研究結果より、慢性低潅流状態でGM-CSFは脳軟膜動脈吻合での側副血行路の発達を促進し、中大脳動脈閉塞による脳梗塞サイズを縮小する作用がある事が示された。
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