研究課題
基盤研究(C)
マウス一側総頸動脈閉塞後の中大脳動脈・前大脳動脈、中大脳動脈・後大脳動脈潅流境界領域における脳軟膜動脈吻合の発達を、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の投与により促進できないかどうかを検討した。マウス一側総頸動脈閉塞2週間後では、脳軟膜動脈吻合の発達が明らかに観察されるが、1週間後には一部の動物で吻合血管の発達が見られるものの有意ではなかった。マウス一側総頸動脈閉塞による低潅流負荷翌日よりGM-CSF20μg/kgを隔日で7日後まで投与した(CCA-GMCSF群)。対照群として一側総頸動脈閉塞後生理食塩水を投与した群(CCA-Saline群)、総頸動脈閉塞の代わりに偽手術を行いGM-CSFを投与した群(Sham-GMCSF群)、生理食塩水を投与した群(Sham-Saline群)を用いた。脳軟膜動脈吻合の発達程度は、深ネンブタール麻酔下に開胸し、左心室より墨汁ロラテックズビーズを投与し、脳表面の吻合血管の本数、サイズを評価した。脳軟膜動脈の血管径は、Sham-Saline群24.4±4.5μm、Sham-GMCSF群25.4±5.8μm,CCA-Saline群25.9±8.1μmに比しCCA-GMCSF群では32.0±8.8μmと有意な拡張が観察された。次にGM-CSF投与により促進される吻合血管が機能的に有効かどうかを明らかにするため、同側中大脳動脈永久閉塞による梗塞サイズを縮小するかどうかを検討した。一側総頸動脈閉塞または偽手術1週間後に同側中大脳動脈を永久閉塞し24時間後にTTC染色で評価したところ、Sham-Saline群51.9±11.1mm^3、Sham-GMCSF群52.0±15.0mm^3,CCA-Saline群48.0±14.8mm^3に比しCCA-GMCSF群では35.4±12.2mm^3と有意な梗塞サイズ縮小効果が観察された。以上の結果よりGM-CSF投与は慢性低潅流負荷により脳軟膜動脈吻合血管にずり応力がかかる状況下で、脳軟膜動脈吻合の発達を促進し、中大脳動脈永久閉塞後の脳梗塞サイズを縮小することが明らかになった。
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FEBS Journal, 274
ページ: 3210-3217
FEBS Journal 274