研究概要 |
高純度アストロサイト培養系を確立した.胎性14,16,20日のラット脳から,実体顕微鏡下に,大脳皮質,線状体,脳幹を分離しグリア培養系を作製した.グリアを増殖培地,高血清濃度条件で培養し振盪法により高純度アストロサイトを回収した.GFAPの免疫染色にてアストロサイトを同定した.また,vimentin, O1,OX42などのグリア系細胞マーカーや,MAP2など神経マーカーについても検討した. 臨床的には同意の得られた片頭痛患者84例,(平均年齢33.5±13.0(S.D.)歳)から,頭痛発作間欠期の血漿を採取した.対照として非頭痛健常者61例(平均年齢32.5±11.1歳)から血漿を得た血漿中matrix metalloproteinase-9(MMP-9)をELISA法により測定した.片頭痛群の血中MMP-9レベルは42.5±4.6ng/ml(平均±S.E)で,対照群の25.4±2.7ng/mlより有意に高値であった.動物モデルにおいて皮質拡延性抑制(CSD)がMMP-9を誘導し,炎症性サイトカインの動態に関与することや,脳梗塞において血中MMP-9が上昇することが示されており,発作間欠期の片頭痛患者における血漿中MMP-9の上昇は三叉神経血管系の炎症,CSD,脳虚血などと共にその病態に関与している可能性を示唆するものである. さらに国際疾病分類(ICD-10)に準拠し共存症調査のための調査票を作製した.少数例におけるパイロット調査を経て,調査票を作製した.調査項目は大項目16疾患群(ICD-10,#1〜15,#19),72疾患(甲状腺疾患,高血圧,脳梗塞,喘息など)とした.現在調査を継続しておりデータを集積中である.
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