検体については今年度は38検体増加した。 protein kinase Cのγsubtype(γPKC)をコードするPRKCG遺伝子変異は脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因として報告されている。我々が保有する検体のうちで未だ原因遺伝子が不明な検体は約3割を占めている。それらの検索として本遺伝子のエクソン4をスクリーニングしたところ、あらたなC/Tミスセンス変異を同定した。本変異を有する症例の臨床症状は基本的には失調症状であるがてんかんをきたすものもあり、幅広いものであった。全体での本遺伝子の変異はこの1家系のみで認められ、日本におけるSCA14の占める割合は低いものと考えられた。 CAGリピートが伸長している候補遺伝子の一次スクリーニングは9つおこなった。このうち4つについてはpolymerase chain reaction(PCR)がまったく反応せず、プライマーの再設計が必要であることが判明した。1つについてはPCR反応が不十分であり、これについてもプライマーの再設計が必要であることが判明した。5つについては正常群で検討した結果、リピート数の分布はheterogeneityを有しており、脊髄小脳失調症群での検討が必要であると判断した。このうち3つについて脊髄小脳失調症群で検討したところ、リピート数の分布はheterogeneityを有するものの、パターンは正常群と類似しており、かつリピートの伸長しているものは認めなかった。
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