検体は今年度59検体収集した。 脊髄小脳失調症16型(SCA16)の原因遺伝子としてContactin4(CNTN4)が報告されたことを受けて、我々が保有する検体のうちで未だ原因遺伝子が不明な323検体(296家系)について検討した。CNTN4のc.4256C>Tの点変異が疾患と関係するとの報告に基づき、PCR-restriction fragment length polymorphismで解析した。保有検体のなかでは同部位の変異を認める症例はなく、日本人においてはきわめて稀な変異・疾患であると考えられた。これまでの検討により家族歴のはっきりしたグループではSCA6が25.3%と最多で、次いでSCA3が23.1%、DRPLAが8.2%、SCA1が4.0%と続き、原因不明のものが34.8%であることを報告した。 SCA6の原因遺伝子のCACNA1AのCAGリピートが伸長している家系を欧・南米・極東から収集し、ハプロタイプ解析を行った。中核となる疾患関連ハプロタイプはどの地域でも見出された。このコアハプロタイプは親が健常なde novo患者でも見出され、SCA6の病変座におけるCAGリピートの伸長しやすさの素因を共有していることが推測された。 CAGリピートが伸長している候補遺伝子のスクリーニングでは脊髄小脳失調症群でリピート数の分布は正常群と類似しており、かつリピートの伸長しているものは認めなかった。
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