研究課題
基盤研究(C)
{目的}脳を直接冷却することによりてんかん性放電が抑制されることは、てんかん手術での経験や、ラットの実験で示されている。本研究では、頚部冷却により、脳に手術侵襲を加えることなく、頚部血管を介して脳を間接的に冷却し、てんかん性放電を非侵襲的に停止・減弱させることが出来るかを検討する。{方法1:頚部冷却で脳表の冷却が可能かの検討}対象は出生28日目のオスSDラット6匹。ペントバルビタール麻酔下で右前頭部と左前頭部の2カ所の脳表を露出。右頚部に-80℃で凍結エチレングリコールを接触させ、左右脳表温と直腸温を1分おきに15分間計測。{結果1}15分後の右脳表の温度は30.3±0.7℃、左脳表は29.0±0.7℃、直腸温は31.9℃±1.4℃で有意差は認めなかった。{方法2:脳表温低下がけいれん閾値に与える影響の検討}対象は出生28日目のオスSDラット7匹。右前頭部に2カ所、左前頭部に1カ所硬膜外電極を設置。手術10日後に刺激実験。右前頭部の2電極間に50Hz、パルス幅0.3ミリ秒の短形波双極低電流刺激を5秒間持続させた。後放電(afterdischarges : ADs)が出現した刺激域値とADsの持続時間を測定。電気刺激はそれぞれのラットで2回ずつ刺激を行い、1回目の刺激では凍結エチレングリコールを左頚部に接触させ冷却した群(3匹)と非冷却群(4匹)で行い、2回目はその逆を行った。(非冷却群3匹、冷却群4匹)。{結果2}刺激閾値は冷却群2.0±0.7mA、非冷却群1.9±0.4mAで有意差なし。持続時間は冷却群10.3±6.3秒、非冷却群9.2±3.7秒で有意差なし。{結論}冷却群で有意差はないものの刺激閾値が高かった。冷却群では約1度の皮質温度低下しか認められておらず、今後はいかに効率的に脳表温度を低下させるかを考慮して実験を行う。
すべて 2006
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