研究課題
背景:電気制御冷却素子(ペルチェ素子)を使って脳局所を冷却すると、てんかん性放電が減少することは、ヒトのてんかん手術中の試みでも示されている。しかし脳に直接ペルチェ素子をあてがうには開頭という侵襲が必要となる。そこで本研究では脳に手術侵襲を加えることなく、ペルチェ素子で頚部を冷却することにより頚部血管を介し脳を間接的に冷却し、脳てんかん性放電を非侵襲的に減弱させることが出来ないかを検討した。平成18年度はエチレングリコールを用いた頚部冷却により約1度の脳温低下が得られ(冷却側半球29.0±0.7℃、非冷却側半球は30.3±0.7℃)、後放電の誘発閾値が冷却側で上昇した(冷却群2.0±0.7mA、非冷却群1.9±0.4mA)。平成19年度は実際にペルチェ素子を用いて脳冷却を試みた。実験1:ペルチェ素子の温度を電流によりコントロールするシステムを作製。電流を増減させて素子の表面温度をモニターした。結果1:冷却面と反対放熱面の温度上昇がペルチェ素子全体の温度を上昇させてしまい冷却効果を得られなかった。実験2:放熱面の温度上昇を抑えるために、放熱面に直径5mm前後のプラスチックチューブを装着。チューブ内にポンプを用いて蒸留水およびエチレングリコールを循環させた。結果2:蒸留水、エチレングリコールのいずれを循環させてもペルチェ素子放熱面の温度上昇は抑制できなかった。考察・結論:ペルチェ効果が生じた場合、冷却面の反対側が放熱のため60〜70度まで上昇するが、これを冷却するためにはもっと効率の良い放熱法を開発する必要があった。てんかん性放電を減少させるには10〜20度まで脳温度を低下させることぶ必要であり、昨年度の我々の結果でラット頚部冷却では脳温度が1度程度しか低下しなかったことを考慮すると、頚部を冷却する方法で15〜20度の脳温低下を得ることは困難と考えられた。
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