研究課題/領域番号 |
18590950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉村 俊朗 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80182822)
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研究分担者 |
中野 治郎 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20380834)
本村 政勝 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (70244093)
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キーワード | アセチルコリン / MuSK / ラミニン / 抗体陰性 / 運動終板 |
研究概要 |
重症筋無力症(以下MG)患者の約20%では血清抗アセチルコリン受容体抗体(以下抗AChR抗体)が検出されず、sero-negative MGとしてその病態機序の解明が進められている。重症筋無力症の症状を呈しながら、抗AChR抗体陰性で、抗MuSK抗体陰性で、反復誘発筋電図で10%以上の減衰を認める患者を対象とする。ヒトでは上腕二頭筋から筋生検で、運動終板微細構造の形態的変化を確認し、補体沈着の有無などに関して病理学的検討を行う。 運動終板の構成にラミニンの関与も認められることから、抗ラミニン抗体を有するラットでの運動終板の変化および、電気生理学的に神経筋伝達の障害が生じるかどうかを検討した。その結果、筋には炎症細胞の浸澗が認められ、抗カルパイン抗体を使用して染色した運動終板の染色性が高くなっていた。Postsynaptic areaの狭小化が認められた。この変化は抗MuSK抗体陽性の患者の運動終板の変化に似る。ラミニン抗体は運動終板の維持に影響を及ぼす可能性がある。しかし、反復神経刺激での筋活動電位は減衰を認めない。抗AChR抗体陰性かつ抗MuSK抗体陰性の患者血清で抗ラミニン抗体の有無を検索したが、抗ヒトラミニン抗体陽性の血清は現在のところない。 また、上記抗AChR抗体陰性、抗MuSK抗体陰性の患者の運動終板は一定の所見を呈していない。症例によっては下の図のように補体の沈着が運動終板に認められる例もあるが、補体の沈着がなく、上の表のように、電子顕微鏡の写真の計測で神経終末と後シナプスのフォールドの長さの比が短い例(抗AChR抗体と抗MuSK抗体共に陰性で補体の沈着が運動終板にない例でコントロールの例や抗AChR抗体陽性の重症箭無力症に比べて、)などの症例が存在する。運動終板の形態変化から推測すると同一の病態では無い可能性がある。
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