研究課題
[目的]抗アセチルコリン受容体抗体陰性の筋無力症では、現在のところ筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)に対する抗体を有する患者が知られている。MuSKは運動終板の形成・維持に重要な役割を果たすことが報告されている。治療としては血漿交換療法や、副腎皮質ホルモンなど免疫抑制療法が主体であるが、抗コリンエステラーゼも重症筋無力症の治療薬としてしばしば第一選択薬として使用される。一方、抗コリンエステラーゼ薬は、運動終板でpostsynaptic foldの変性を来すことが知られている。そこで、抗MuSK抗体陽性重症筋無力症愚者に抗コリンエステラーゼを投与する際、運動終板の形態変化がより生じやすいかを、ラットで検討した。[対象・方法]18匹の雄ルイスラットにヒト抗Musk抗体陽性IgG,ヒト抗アセチルコリン受容体抗体陽性IgG,ヒト正常IgGを投与した。ラットには、臭化ネオスティグミンを投与した。ひらめ筋の運動終板を観察した。[結果]抗MuSK抗体陽性lgG、もしくは、抗AChR抗体陽性lgGを投与されたラットはともに、アセチルコリン受容体の減少は観察されず、補体の沈着もなかった。微細構造の変化では、臭化ネオスティグミン投与が投与されたシナプス間隙に結合織の浸潤が観察されたが、シナプスの変性はなかった。[結論]抗アセチルコリン受容体抗体陽性の重症筋無力症においても、抗MuSK自己抗体陽性重症筋無力症においても、抗コリンエステラーゼ剤の投与で形態の変化は認められず、治療域での抗コリンエステラーゼ剤の投与は抗MuSK抗体陽性重症筋無力症でも使用は可能であろう。
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