研究概要 |
進行性筋ジストロフィーに対する遺伝子治療の問題点として、dystrophingeneのcDNAが14kbと巨大であることが挙げられる。我々は,37kbのcloning capacityを有するhelper-dependent adenovirus (HDAd) vectorを作成し、full length dystrophinのpacagingを行なった。モデル動物としてmdxマウスと比較しDMD症状を早期より呈するdystrophin-utrophin-double-nockout (dko)マウスを用い治療効果について検討した。生後1週齢のdkoマウスを対象としHDAdmyc-dysを上肢・下肢・背筋にmultiple muscle injectionにて遺伝子導入を行ない、投与8週後にて評価を行なった。前脛骨筋の評価では50%以上の筋にdystrophinの局在が確認され、β-DG、α-SGといったdystrophin関連蛋白の発現も回復し、運動機能の改善、有意な生存期間の延長を認めた。AAV vectorを用いたm-dystrophinのdkoマウスヘの静脈内投与により優れた成果が報告されているが、大型動物へのμ-dystrophinの有用性は確立されていない。最近Cossuらは、mesoangioblast stem cellsを用いてfull length dystrophinを筋ジス犬の筋肉へ導入し、lentivivirusを用いたμ-dystrophinと比較し、臨床的改善に優れていることを示した。HDAd vector systemも、DMDの治療手段の一つになる可能性が示唆される。 治療遺伝子の長期発現のためSleeping Beauty (SB) transposonのシステムを用いdystrophin遺伝子を染色体に組込む方法を検討しており、trasposon DNAのcontruct及びSB transposaseのcontructを作製中である。
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