我々は三好型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー2B型の責任遺伝子産物であるディスフェルリンがアフィキシンと正常骨格筋において結合することを既に報告している。ディスフェルリンとアフィキシンは正常な骨格筋細胞膜において共局在するが、ディスフェルリノパチー患者骨格筋ではアフィキシンは細胞膜から部分的に欠落している。またディスフェルリンは骨格筋細胞膜の損傷部位においてカルシウム依存的にパッチを形成することから膜修復に関与することが示唆される。そこでディスフェルリンとアフィキシンの結合がカルシウム濃度により調節される可能性について検討した。COS-7細胞にタグを付加したディスフェルリンとアフィキシンを共発現させ、タグに対する抗体を用いた免疫沈降法により両者の結合を検討した。その結果、ディスフェルリンとアフィキシンの結合はカルシウムにより阻害されることが明らかになった。これに対し我々が同定したディスフェルリンの結合タンパク質であるカベオリン-3とディスフェルリンの結合はカルシウムの影響を受けなかった。筋細胞膜修復におけるアフィキシンの生理的意義を解明するため、マウスから単離した筋線維にレーザーを照射し、細胞膜に損傷を与えた際のアフィキシンの挙動を現在解析中である。また、アフリカツメガエル卵母細胞にヒトアフィキシンをマイクロインジェクションにより発現させ、レーザーで膜損傷を与えた際のアフィキシンの挙動についても現在解析中である。
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