研究課題
基盤研究(C)
モデル疾患として選択した.Pelizaeus-Merzbacher disease ; PMDの治療と平行して病態解析で進歩がみられた。我々はnonsense変異の重症度は、蛋白分解系への負荷の強さにより決まるのではないかとの予備実験の結果を得ており、本年度は更にこの検討を進めた。今回は軽症変異としてrsh (I186T),W152L,重症変異としてW152R, msd (A242V)変異を取りあげた。まずこれら蛋白の局在に関して、従来からいわれていたようにすべてが小胞体に局在するわけではなくW152Lのように小胞体外に局在する変異があることを本年発表したが(Neuroscience 2006)、同様の傾向をW152Rも示していることを示した。実際に小胞体に局在する異常蛋白;rshは小胞体シャペロンのカルネキシンと共沈していたがwt-PLP, W162Lでは認めなかった。またこれらの異常PLPの安定発現細胞を樹立したが、正常PLPがライソゾームと思われる顆粒、膜、突起様構造まで分布するのに対し異常蛋白はいずれも核周囲の分布を示しPLP変異によりトラフィッキング異常を起こしていることを示した。またPLP蛋白の局在を小胞体の蛍光色素、ライソゾームの蛍光色素を用いその局在を観察し、必ずしも小胞体のみならずライソゾームにも存在することを示した。また重症変異は蛋白分解の元進が示唆された。蛋白分解がどのように行われているのか、ライソゾーム、プロテオゾーム、カルパイン阻害薬を用いそれぞれの関与を調べたところ、低発現のFLAG系では重症変異ではプロテオゾーム系の分解が主体であることがわかった。一方高発現系のGFAP系ではカルパイン分解系の関与が強いことがわかった。以上よりnonsense変異は少なくとも細胞レベルでは、小胞体のみならずライソゾーム、カルパインにより分解を受けており、これら蛋白分解系への負荷の強さが重症度を規定している可能性が示された。またmsdゴマウス治療に関しては、IP6については測定系が調整中でありまず第二の候補薬の投与を開始し、生存日数の延長が認められた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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