研究課題/領域番号 |
18590969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立水俣病総合研究センター |
研究代表者 |
臼杵 扶佐子 国立水俣病総合研究センター, 臨床部, 室長 (50185013)
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研究分担者 |
山下 暁朗 横浜市立大学, 医学研究科, COE特任教員 (20405020)
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キーワード | nonsense-mediated mRNA decay(NMD) / PTC / siRNA / NMD抑制 / Ullrich病 / hUpf1 / hSMG-1 |
研究概要 |
Collagen VI α2遺伝子にフレームシフト変異による早期終止コドン(PTC)が生じた先天性筋ジストロフィーUllrich病の患者繊維芽細胞をモデル細胞とした。mRNA監視機構であるnonsense-mediated mRNA decay(NMD)を抑制するために、mRNA helicaseであるhUpf1、その生理的なリン酸化酵素であるhSMG-1及びhSMG-1の結合蛋白質であるp130を標的としてsiRNAを作成した。siRNAを細胞内に発現させ、Western BlotによりhUpf1、hSMG-1、p130のノックダウンを確認した。いずれのノックダウン細胞でもNMD活性の指標であるhUpf1のリン酸化低下が認められNMDは特異的に抑制されたが、p130のノックダウンではhUpf1のリン酸化低下はmildであった。Real-time PCRを用いた変異collagen VIα2 mRNAの発現変化は、いずれも1.4倍以上の増加を認めた。いずれのノックダウンでも、collagen VI三鎖構造を認識する抗体を用いた免疫染色で、control細胞では認めなかった細胞内および細胞外マトリックスにおけるcollagen VI三鎖構造が認められた。このcollagen VI回復はfibronectin receptorの発現増加と細胞易遊離性の改善をもたらし、細胞機能が部分的に回復することが明らかになった。細胞増殖能、アポトーシス初期マーカーであるγH2AXの発現、細胞周期プロファイルは、いずれのノックダウン細胞でもcontrol細胞と有意差を認めなかった。腫瘍細胞であるHeLa細胞においては細胞増殖能の抑制やγH2AXの発現増加を認めたことから、非腫瘍細胞と腫瘍細胞におけるNMDの機能には差があることが考えられた。
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