研究概要 |
平成19年度研究では高密度リボ蛋白(HDL)の腫瘍壊死因子(TNFa)による接着分子VCAM,ICAM発現促進作用に対する抑制機構の解明を行った。HDLは単独では接着分子発現を促進しなかった。HDLは濃度依存性にTNFaによる接着分子発現促進作用を阻害した。このHDLの阻害作用はNOS阻害剤の同時添加で消失した。この事実からHDLによる接着分子発現阻害作用もNOを介しているものと考えられた。HDLによるNO合成促進作用はPTX,SIP受容体S1P_1,S1P_3に特異的なsiRNA導入で50%程度阻害された。HDL受容体SR-BIに特異的なsiRNA導入でもNO合成促進作用は50%程度の阻害に留まった。SR-BI特異的siRNAとPTXもしくはsIP_1,SIP_3特異的なsiRNAの同時導入によってHDLによるNO合成促進作用は消失した。HDLからアポ蛋白,ApoAを抽出しプォスファチジルコリン(PC)を添加し再構成したHDL(rHDL)は濃度依存性にNO合成を促進し,TNFαによる接着分子発現を阻害した。これらの作用はSR-BI特異的siRNA導入で消失した。またrHDLによる接着分子発現抑制作用はNOS阻害剤で消失した。これらの事実からHDLはHDL受容体SR-BIとHDL中S1P/S1P受容体の複数の経路を通じてNO合成を促進し接着分子発現を阻害していることが示唆された
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