研究課題/領域番号 |
18590977
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 和久 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251233)
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研究分担者 |
原 眞純 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70420213)
磯尾 直之 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80420214)
渡辺 卓郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20376437)
石坂 信和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20270879)
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キーワード | マクロファージ / 植物ステロール / 炎症 / サイトカイン / ステロリン / 動脈硬化 |
研究概要 |
(1)前年度に引き続き、ヒト肝臓特異的ABCG5 cDNA(以下hABCG5)、小腸ABCG5 cDNA(以下iABCG5)およびABCG8 cDNAのcDNAクローニングを行なった。前年度認めたABCG5の3'末端近位部のalternative splicingに関しては、意義ある遺伝子産物ができない配列であったため、クローニングは行なわなかった。これらcDNAからアデノウイルスベクターを作成・精製し、HepG2細胞に感染させ、目的遺伝子産物が産生されることをWestern blotで確認した。(2)前年度、ヒトマクロファージにおけるABCG5遺伝子発現を示唆したRT-PCRでのPCR産物は、PCRに伴うby-productであることが判明し、ヒトマクロファージにおいても(J774細胞、RAW264.7細胞、マウス腹腔マクロファージと同様に)ABCG5およびABCG8の発現は認めないことが明らかとなった。小腸にてABCG5/8発現を亢進させることが判明しているLXRアゴニストでマウス腹腔マクロファージを刺激しても、ABCG5/8の発現は認めなかった。(3)J774細胞、RAW264.7細胞を、シトステロール、カンペステロール、コレステロールを低濃度(16μM)および高濃度(160μM)存在下で培養し、さらにLPS添加・非添加の条件でIL-6およびTNFαの分泌を検討した。ステロール低濃度ではRAW細胞にてLPS刺激を加えた場合にシトステロールがサイトカイン分泌を軽度亢進させた。ステロール高濃度では、J774細胞・RAW264.7細胞ともにコレステロールが他のステロールおよびコントロールと比較してLPS存在・非存在いずれの場合にも著明にサイトカイン分泌を亢進させ、植物ステロールはLPS存在下でサイトカイン分泌を抑制した。(4)動物実験舎のトラブルにより十分な個体数での検討はできなかったが、通常食にて飼育したABCG5/8欠損マウスと野生型マウスの血中IL-6およびTNFαレベルには、大きな相違はなかった。以上より、ステロリンはマクロファージでは発現していないこと、正常ヒトおよび植物ステロール患者における血中植物ステロール濃度では通常ヒト血中濃度のコレステロールと比較して、マクロファージにおける炎症惹起性がはるかに弱いことが示唆された。
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