研究課題/領域番号 |
18590977
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 和久 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251233)
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研究分担者 |
原 眞純 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (70420213)
磯尾 直之 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80420214)
渡辺 卓郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (20376437)
石坂 信和 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (20270879)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | マクロファージ / 植物ステロール / 炎症 / サイトカイン / ステロリン / 動脈硬化 |
研究概要 |
ABCG5あるいはABCG8がコードするステロリンの遺伝子異常は動脈硬化惹起性の植物ステロール血症を発症させるが、それが植物ステロールの血中濃度上昇によるものなのか、ABCG5/ABCG8の遺伝子異常によるものなのか、あるいは他の因子によるものなのかは明らかではない。今回、動脈硬化発症・進展に関与するマクロファージ・Tリンパ球系細胞を用い、これら細胞におけるABCG5とABCG8の発現、植物ステロール負荷によるサイトカイン分泌を検討した。ヒト末梢血由来マクロファージ、マウス腹腔マクロファージ、マクロファージ系J774.A1細胞、RAW264.7細胞にて検討した結果、これらマクロファージ系細胞ではコレステロール:負荷、あるいはLXRアゴニストを用いた処理をしてもABCG5、ABCG8いずれも発現を認めなかった。J774.A1細胞、RAW264.7細胞を、シトステロール、カンペステロール、コレステロールを低濃度および高濃度存在下で培養し、さらにLPS添加・非添加の条件でIL-6およびTNF・の分泌を検討した。ステロール低濃度ではRAW細胞にてLPS刺激を加えた場合にシトステロールがサイトカイン分泌を軽度亢進させた。ステロール高濃度では、J774細胞・RAW264.7細胞ともにコレステロールが他のステロールおよびコントロールと比較してLPS存在・非存在いずれの場合にも著明にサイトカイン分泌を亢進させ、植物ステロールはLPS存在下でサイトカイン分泌を抑制した。動物実験施設のトラブルにより十分な動物検討はできなかったが、予備的検討ではアポE/ステロリンダブル欠損マウスはアポE単独欠損マウスと比較してコレステロールレベルは低い傾向にあり、IL-6やTNFαといったサイトカインも低い傾向を認めた。以上から、植物ステロール患者が動脈硬化を発症しやすいのは、マクロファージにおけるABCG5/8の遺伝子異常、あるいは植物ステロールが過剰に血中に存在してマクロファージに負荷をかけていることによるものではないことが考えられた。さらに、今回のABCG5遺伝子クローニングに際し、ABCG5は肝臓においては小腸とは異なったスプライシングを受けており、肝臓におけるステロリン1が小腸にステロリン1とは異なった機能を有している可能性が示唆された。
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