高インスリン血症を呈するインスリン抵抗性動物の血管壁でのインスリンシグナルとインスリンによって誘導される転写因子C/EBP-βの発現およびDNAへの結合活性およびMCP-1発現を食事の前後において検討した。その結果 1)インスリン抵抗性動物の血管壁においてP13キナーゼの下流分子であるAKTの燐酸化はむしろ対照に比較して食事の前後で共に亢進していた。 2)さらにインスリン抵抗性動物の血管壁において食後のMCP-imRNA発現が九進しており、血清インスリン値とMCP-lmRNA発現が有意な相関を示した。 3)同様にC/EBP-βのmRNA発現が食後に亢進しており、MCP-lmRNA発現と極めて良好な相関(r=0.90、p<0.001)を示した。 4)Chip assayにて検討したC/EBP-βのMCP-1遺伝子5'上流域への結合はインスリン抵抗性動物の血管壁において亢進していた。 以上、血管壁での炎症関連遺伝子の発現に転写因子C/EBPが重要な役割を果たし、食後の高インスリン血症がその活性と相関した。インスリンは転写因子C/EBP-βの発現を介してMCP-1をはじめとする炎症関連遺伝子発現を亢進させていることが明らかになった。
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