研究課題/領域番号 |
18590987
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小室 竜太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40403183)
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研究分担者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (60243234)
前田 和久 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60397750)
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キーワード | RhoA / Rho-kinase / 成熟脂肪細胞 / 炎症 / アディポネクチン / プロモーター活性 / アディポネクチン多量体 |
研究概要 |
昨年度に肥満マウスの白色脂肪組織でRhoA及びその標的分子Rho-kinaseの活性の高さ、摂食による調節等を明らかにした。今年度は白色脂肪組織の構成要素、成熟脂肪細胞におけるRhoAの機能を3T3-L1脂肪細胞を用いて検討した。 1.TNF-αによるRhoA活性上昇 インスリン抵抗性惹起因子TNF-αが3T3-L1成熟脂肪細胞でRhoAとRho-kinase活性を上昇させること、またRho-kinase阻害薬によるTNF-α誘導性炎症性サイトカイン遺伝子発現上昇の抑制とTNF-α誘導性炎症性シグナル伝達経路(p38 MAPK、JNK、NFκB)の活性化の抑制を見出した。このことからインスリン抵抗性に関わる脂肪細胞の炎症発症にRhoAとRho-kinase経路が重要であることがわかった。 2.糖取り込みに対するRho-kinase阻害薬の効果 Rho-kinase阻害薬単独での成熟脂肪細胞による糖取り込み上昇に加え、TNF-α誘導性のGlut4遺伝子発現低下と糖取り込み抑制をRho-kinase阻害薬は回復させることがわかった。 3.アディポネクチン産生・分泌に対するRho-kinase阻害薬の効果 成熟脂肪細胞において、TNF-α誘導性のアディポネクチン遺伝子発現低下をRho-kinase阻害薬は回復させた。またRho-kinase阻害薬は、単独でアディポネクチンプロモーター活性を約2倍に増強させ、アディポネクチンプロモーター活性増強作用を有することが知られているPPARγアゴニスト、ピオグリタゾンによるプロモーター活性上昇もさらに約2倍に増強させることを明らかにした。Rho-kinase阻害薬は成熟脂肪細胞の培養液中のアディポネクチン多量体も増加させた。以上から、RhoAとRho-kinase経路は脂肪細胞機能の恒常性に重要な調節因子であることがわかった。
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