研究課題
基盤研究(C)
ヒトのカルニチン欠乏症では低血糖が起こり、時に死に至る。そのメカニズムとして唯一 glucose-fatty acidcycle Theoryを用いて説明がされている。しかしそれが生理的状況で働くとしても、病的状況でも働いているかどうかは 疑問視されており、他の知られざるメカニズムが存在していると考えられている。しかしヒトでの分析には限界がある。Juvenile Visceral Steatosisマウス(JVSマウス)は遺伝的にカルニチン輸送担体(OCTN-2)の欠損にもとづき、全身性にカルニチン低下症がおこり、ヒトのカルニチン欠乏症のモデル動物として知られている。低血糖を起こすので低血糖の原因検索の研究を行った。低血糖は離乳期に激しく、またそれが原因で死亡するという特異な現象を見出した。正常マウスでは低血糖は起こらず、死亡例もなかった。またJVSマウスではミルクの摂取は行うが、低血糖にも拘らず固形食に見向きもせず、即ち食欲自体をなくしていることを見つけた。正常マウスではミルクの摂食から固形食に切り替わっていく。そこで食欲に関係した脳内ペプチドを調べると、JVSマウスでは視床下部オレキシンの遺伝子発現が正常マウスに比べて強い抑制を受けている事実が判明した。以上の結果から脳内には摂食に関して2つの機構があり 1つはミルクを飲む機構で、カルニチンの低下と無関孫に生後から21日前後まで働く。もう1つは 固形食を摂取する機構で、20日前後から働きはじめる。しかしカルニチンが低下していると働かず、マウスは食欲をなくし、低血糖に陥り死亡すると、考えられた。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Endocrine Journal 54
ページ: 911-925
Endocrine Journal 54(6)