研究概要 |
肥満2型糖尿病モデルのOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty(OLETF)ラットは糖尿病発症以前よりラ氏島血流量が対照のLong-Evans Tokushima Otsuka(LETO)ラットより増加しているが、糖尿病の罹病期間に伴いラ氏島血流量が減少する(Iwase et al.,Diabetes 2002)。このOLETFラットに食餌制限を行い、糖尿病の発症を予防すると、ラ氏島血流量の減少が起こらず、ラ氏島血流量増加が継続した(Iwase et al.,Diabetes 2002)。今回、OLETFラットとLETOラットを10週齢より16週齢までアカルボース0.04%含有飼料で飼育し、ペントバルビタール麻酔下でカラーマイクロスフェア法にてグルコースiv投与前後のラ氏島、膵、十二指腸、結腸の血流量を測定した。随時およびグルコースiv投与後血糖はアカルボースによりLETOラットで変化しなかったが、OLETFラットでは有意に減少した(投与なし146±8mg/dl,372±7mg/dl投与あり123±5mg/dl,337±5mg/dl, p<0.001)。随時およびグルコース投与iv後インスリン濃度はアカルボースによりLETOラットで有意に変化しなかったが、OLETFラットでは有意に減少した(投与なし11.4±1.0ng/ml,32.5±4.0ng/ml投与あり7.1±0.7ng/ml,24.1±1.3ng/ml, p<0.001,p<0.05)。ラ氏島容量はLETOラットで変化なかったが、OLETFラットではアカルボース投与によって有意に減少した(投与なし3.3±0.1%投与あり2.4±0.2%,p<0.001)。ラ氏島血流量の基礎値はLETOラットでアカルボースによる影響はなかったが、OLETFラットではアカルボース投与で有意に増加し(投与なし8.2±1.2μl/min/mg投与あり11.1±1.0μl/min/mg, p<0.05)、LETOラットより有意に高値であった(p<0.001)。グルコースiv投与後、ラ氏島血流量は増加したが、LETOラットでアカルボースによる変化はなかった。一方、OLETFラットはアカルボース投与の有無にかかわらずLETOラットより有意に高値であり(p<0.05)、さらに、アカルボース投与により有意に増加した(投与なし12.6±1.4μl/min/mg投与あり17.7±0.7μl/min/mg, p<0.01)。 αグルコシダーゼ阻害薬アカルボースはラ氏島血流量を有意に増加させた。これらの変化は食餌制限の際にみられた変化と同じであった。
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