研究課題
基盤研究(C)
アディポネクチン受容体以下のシグナルを解明することを目的として、PMF法を用いてアディポネクチンシグナル下流の遺伝子の増減を検討したところ、マウス骨格筋において、アディポネクチン添加により約6.8倍のFerritin Heavy Chain(FHC)蛋白発現上昇を認めた。この上昇は、NFκBの阻害薬にて消失すること、並びに、FHC遺伝子の転写はNFκBの転写刺激を受けていることから、アディポネクチンは、アディポネクチン受容体を通じて、NFκBの転写を刺激し、最終的にFHC蛋白量を増幅させる働きがあることが明らかとなった。この現象は、アデノウイルスを用いたアディポネクチン過剰発現マウスにおける筋肉組織においても、FHCの発現増加が観察された。筋肉においてNFκBによる調節を受けていると考えられるMnSOD、iNOSなどもそれぞれ約2.0、7.7倍上昇しており、これら3つの蛋白は、酸化ストレス軽減作用があることから、アディポネクチンによる抗動脈硬化作用としての酸化ストレス軽減作用をこれらの蛋白が関与していることが示唆された。それぞれの酸化ストレス軽減作用をsiRNAを導入して特異的に消滅させることによる検討によって、筋肉においては、FHCによる酸化ストレス軽減作用が最も強く関与していることが示唆された。
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Biochem Biophys Res Commun 365
ページ: 433-438
Biochim Biophys Res Commun 365