研究課題/領域番号 |
18591003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学部, 助教授 (60343480)
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研究分担者 |
金澤 昭雄 順天堂大学, 医学部, 講師 (30407259)
河盛 隆造 順天堂大学, 医学部, 教授 (00116021)
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キーワード | ヘッジホッグ / パッチド / 膵発生 / シグナル |
研究概要 |
ヘッジホッグ(hh)ファミリーは、さまざまな組織での発生分化過程に重要な役割を果たす。hhはその受容体であるPatched(Ptc)により細胞内シグナルが伝達される。hhと結合していない状態ではPtcにより抑制されている細胞内シグナル経路はヘッジホッグとの結合により解除される。Hhと膵発生に関する検討は行われてきたが、その全容は必ずしも明らかではない。そこで、本研究では、Ptc遺伝子の一部を欠失したmesenchymal dysplasia(mes)を利用したコンパウンドヘテロ(Ptc-/mes)を用いることにより、これまで不可能であった膵発生過程胎生後期での容量依存的なhhシグナルの意義を検討した。具体的には、Ptc+/+、Ptc+/mes、Ptc+/-、Ptcmes/mes、Ptc-/mes)を作製し、胎児膵の形態学的変化、発現遺伝子について検討した。いずれのマウスも胎生12.5日まではPDX1の正常な発現を含め、明らかな膵発生の異常を認めなかった。胎生15.5日には、内分泌系に関しては、Ngn3陽性細胞数に変化は認めないものの、Maf-A陽性細胞数が、Ptcmes/mes、Ptc-/mesでのみ明らかに低下、外分泌系に関しては、細胞数の減少を認め、間葉系の細胞数の増加を認めた。胎生18.5日に定量的計測を行うと、グルカゴン陽性面積は、Ptcの各genotype間で有意差はないが、インスリン陽性面積、アミラーゼ陽性面積は、Ptc+/+、Ptc+/mes、Ptc+/-、Ptcmes/mes、Ptc-/mesの順に低下し、間葉の面積はPtc+/+、Ptc+/mes、Ptc+/-、Ptcmes/mes、Ptc-/mesの順に増加していた。すなわち、発生膵において、hhシグナルの亢進は、間葉細胞の増加と外分泌細胞、膵β細胞の低下をもたらすことが明らかになった。
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