研究課題
【目的】近年の動脈硬化性病変患者の増加に伴い、治療的血管再生療法の重要性が高まっている。今回我々は、ビタミンAの天然誘導体である全トランス型レチノイン酸(ATRA)及び合成レチノイドAm80を用いて、それらの血管新生に対する効果を検討した。【方法】1)ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)とヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)の共培養下で、ATRAまたはAm80の投与下で9日間培養した後、形成された管腔の面積と長さを解析した。2)ATRA及びAm80によるHUVECの増殖能と遊走能を評価した。3)内因性VEGF分泌およびmRNA発現の変化をELISA法ならびに定量PCRを用いて評価した。4)HUVEC上の2型VEGF受容体(KDR)のmRNA発現の変化を、定量PCRを用いて評価した。5)1)で用いた共培養系において、VEGF中和抗体またはKDR中和抗体の添加が管腔の面積・長さに及ぼす影響を解析した。【成績】1)ATRA及びAm80により管腔形成が促進された。2)ATRA及びAm80によりHUVEC増殖能の亢進が認められたが、遊走能の変化は認められなかった。3)NHDFとHUVECの共培養下およびNHDF単独培養下において、ATRA及びAm80による内因性VEGF分泌およびmRNA発現の亢進が認められた。4)HUVECにおいてATRAによるKDRmRNA発現の亢進が認められた。5)ATRAによる管腔形成は、VEGF中和抗体またはKDR中和抗体の添加により抑制された。【結論】本研究により、ATRA及びAm80が管腔形成を促進することが明らかとなった。その機序として、HUVECの増殖促進作用、NHDFにおけるVEGF分泌・発現の促進作用、およびHUVECにおけるKDRの発現亢進が考えられた。以上の結果から、ATRA及びAm80は虚血性疾患における治療的血管再生療法に有効である可能性が示唆された。
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