研究課題/領域番号 |
18591017
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (00211871)
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研究分担者 |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
澤田 誠 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (10187297)
曹 霞 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70432218)
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キーワード | DHCR24 / ノックアウト / p38MAPK / JNK / ASK-1 / 過酸化水素 / 活性酵素 / 酸化ストレス |
研究概要 |
これまでの研究で、DHCR24は過酸化水素を消去することにより、酸化ストレスによる細胞のアポトーシスを抑制することが示された。本年度の研究では、N型糖鎖付加阻害剤tunicamycin(TM)による小胞体ストレスがDHCR24ノックアウトマウス胎児繊維芽細胞(KO MEF)に及ぼす影響について検討した。KO MEFに0.2ug/ml TMを負荷すると48時間後にはほとんどの細胞がアポトーシスに陥った。一方で、野生型のMEFはTMに抵抗性で、48時間後に約70%の細胞が生存していた。DHCR24を発現する組換えアデノウィルスを感染させると、KOMEFはTMに抵抗性となった。Bip/GRP78の発現をウエスタンブロット法により検討すると、KO MEF、野生型MEFで同程度の発現増加が観察され、TMによる小胞体ストレスの強度は両MEFで差がないことが示唆された。しかしながら、ストレスキナーゼであるp38mitogen-activated protein kinase(MAPK)の活性化を検討すると、野生型やアデノウィルス感染KO MEFでは-過性の活性化しか観察されなかったのに対し、KO MEFでは持続的な活性化が認められた。また、細胞内活性酸素(ROS)の産生を検討すると、TM添加によりKO MEFで強いROS産生が認められ、これはアデノウィルス感染により減弱した。以上の結果から、TMはROS産生を介してストレスキナーゼの持続的な活性化を引き起こし、KO MEFのアポトーシスを誘導すること、DHCR24は小胞体に局在するROS scavengerで、TMによるROS産生を減弱することにより小胞体ストレスによるアポトーシスを抑制的に制御することが明らかになった。
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