C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は、膜型グアニル酸シクラーゼ(GC)-Bを受容体として、動脈硬化病変の抑制や内軟骨骨化の促進に関与することが知られている。我々は既に、マウスにおいて単一のGC-B遺伝子から、選択的スプライシングによりGC-B1、GC-B2(CNP結合によるGC活性化に重要な第9エクソン部分を欠失)、GC-B3(細胞外ドメインのみ)の3つのアイソフォームが生じ、GC-B2とGC-B3が優性阻害型アイソフォームとして働くことを明らかにしていた。本研究では、マウス成長板軟骨にはGC-B1のみが発現していることが明らかになり、我々が作製したCNPあるいはGC-Bのノックアウトマウスの主たる表現型が、GC-B発現レベルが必ずしも高くない成長板軟骨での内軟骨骨化の障害による、脊椎と四肢骨の伸長障害であった理由と考えられた。次に、ヒト心室から抽出したRNAを用いた逆転写PCR法にて、ヒトにおいてもGC-B2が発現していることを確認し、フレームの一致した終止コドンを有する第8イントロンが転写され、GC-B3様であるが膜貫通部位の直後で終止する、新たなGC-Bアイソフォームの存在が示唆された。ヒト遠位中間肢異形成症Maroteaux型の原因となるGC-B変異の1つにQ500X変異が報告されているが、今回存在が示唆されたアイソフォームはこの変異体と同様なGC-B分子を生じるため、今後、このアイソフォームの機能を検討する予定である。一方、GC-B2特異的な配列の10アミノ酸からなるペプチドを抗原として用い、家兎を免疫して抗血清を調整したが、マウス組織抽出物を用いたウェスタンブロット解析では、GC-B2を検出することはできなかった。より特異性の高い、抗GC-B2あるいは抗GC-B3抗体の調整が必要と考えられた。
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