Rbp-j^<f/f> Pdx.creマウスのe11.5の解析でα細胞とPP細胞への細胞数が増加していた。neurongenin3陽性細胞の数の低下が認められた。増加したα細胞とPP細胞は、Notch/Rbp-j系のknock outによる前駆細胞からα細胞とPP細胞への分化の亢進を反映しており、neurogenin3陽性細胞の減少は、その分化の亢進による前駆細胞の減少を反映していると考えられる。Notch/Rbp-j系がα細胞とPP細胞への分化を抑制し、膵の前駆細胞のプールの維持に関与していることが示唆される。 e15の解析で、cytokeratin陽性の伸張した膵管が認められた。この膵管構造では、膵管細胞に発現するcytokeratinが陽性であり、膵管細胞であることが示された。インスリン陽性細胞や、amylase陽性の膵外分泌細胞は減少していた。Notch/Rbp-j系が膵の前駆細胞から膵管細胞への分化を抑制していることが、示唆される。 生後のRbp-j^<f/f> Pdx.creマウスで、膵は低形成であり、内分泌細胞は減少しており、血中インスリン濃度の低下を伴う糖尿病を呈した。 分化したβ細胞におけるNotch/Rbp-j系の意義を検討する目的で作成したRbp-j^<f/f> Rip.creマウスでは明らかな異常が認められなかった。このことは、β細胞が分化したステップ以降では、Notch/Rbp-j系が作用していない可能性を示している。 さらにマウス胎生期の膵の内分泌細胞の前駆細胞においてPtflaがPdxより1日遅れて発現することに着目して、Rbp-j^<f/f> Ptfla.creマウスを解析したところ、内分泌細胞の減少の程度はRbp-j^<f/f> Pdx.creマウスに比較して、はるかに軽度であった。このことは、膵内分泌細胞のプールの維持には、Notch/Rbp-j系が膵発生早期のきわめて限られた時期に発現することが必要であることを示している。
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