研究課題
基盤研究(C)
脂肪組織中には体の組織を構成する様々な細胞に分化できる特殊な細胞(ADSC: Adipose Derived Stem Cell、脂肪幹細胞)が存在している。我々はこれまで代謝学的観点から脂肪組織を内分泌臓器として位置づけ、アディポサイトカインの概念を確立してきた。本研究において脂肪幹細胞を組織再生のための単なる細胞ソースのみとして捕らえるのではなく、有効なアディポサイトカインを分泌する自己由来細胞として次世代型再生医療システムに臨床応用することを目的として以下の研究を行った。1.マウス血管病への治療応用血管新生治療への試みとして、マウス白色脂肪組織より調整した細胞群を培養し、マウス下肢虚血モデルの虚血部位にinjectionし、その有効性を報告した。2.ヒト再生医療組織の生体への影響大阪大学未来医療センターにてGMP基準に準拠したCPC(セルプロセッシングセンター)でのヒト脂肪組織よりの細胞調整を行い、これを利用して角膜上皮細胞シートの作成さらにヒトへの移植を行った。慢性期効果判定が可能であった患者様に対して安全性および有効性を評価し、現在論文投稿中である。3.臍帯血造血幹細胞の体外増殖法の開発ヒト脂肪幹細胞の臍帯血由来幹細胞に対するフィーダー効果も見出された。本作用のメカニズムとして骨髄間葉系細胞に発現しているURB(Up-Regulated Bombesin receptor subtype3 knock out mouse)タンパクが脂肪前駆細胞に由来する血液系幹細胞増殖因子の一つとして機能する可能性があると考えられた。さらに本因子が脂肪組織に極めて高発現を示し、脂肪前駆細胞や脂肪前駆細胞由来の脂肪細胞から分泌される新規アディポサイトカインとして機能する事を論文報告した。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
Biochemical and Biophysical Research Communications 367
ページ: 370-376
Biochem Biophys Res Commun 367(2)
ACROSS 15
ページ: 8-13
J Atheroscler Thromb. 13(2)
ページ: 77-81
J Atheroscler Thromb 13(2)