研究課題/領域番号 |
18591024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗山 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20403181)
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研究分担者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60243234)
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90252668)
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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キーワード | グリセロール / アクアポリン / FIP / 栄養制御 / 心臓 / 糖尿病 / 肥満 |
研究概要 |
我々はヒトゲノムプロジェクトの一貫としてヒト脂肪組織発現遺伝子プロファイルを作成し、それに基づき新規の脂肪組織特異的遺伝子をクローニングしてきたが、脂肪組織で高発現し、摂食状態の変化に伴いその発現が大きく変化する遺伝子、つまり栄養制御を強く受ける遺伝子は肥満や生活習慣病の発症に深く関わっている可能性が推測される。アクアポリンアディポース(AQPap)ならびに今回クローニングした新規遺伝子、Fasting Induced Protein(FIP)の両分子は脂肪組織で高発現し、絶食によりその発現が著明に増加する。前年度、我々はAQPapが実際に脂肪細胞グリセロールチャネル分子として機能し、生体でのグリセロール代謝のKey分子の一つであることやAQPap欠損マウスが肥満を呈することを報告している。 本研究においてAQPapが心臓にも発現することが確認し得たので、心臓でのAQPapの働きならびにグリセロール代謝の解明を試みた。ノックアウトマウスを用いた検討によりAQPapノックアウトマウスは心肥大を呈し、グリセロール代謝を介した何らかの代謝異常が推測された。 次にもう一つの分子であるFIPについて、その発現調節を検討した。3T3-L1脂肪細胞ならびに肝HepG2細胞においてインスリン投与により濃度ならびに時間依存的にFIPmRNA発現は低下した。またHepG2細胞ではPPARαリガンド投与によりFIP mRNA発現は増加を示した。動物実験については、STZ投与マウスにおいて脂肪組織のFIP mRNA発現増加が認められ、細胞実験同様にインスリンによる負の制御が考えられた。FIPアデノウィルスを作成し、そのマウス静脈内投与により血糖値の低下が認められ、FIPが糖代謝に影響を及ぼす分子であることが推測された。以上より両分子の研究成果はさらなる代謝学の進歩に貢献するものと考えられる。
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