研究課題/領域番号 |
18591025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
杉本 利嗣 島根大学, 医学部, 教授 (00226458)
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研究分担者 |
山口 徹 島根大学, 医学部, 助教授 (00239899)
矢野 彰三 島根大学, 医学部, 助手 (80403450)
山内 美香 島根大学, 医学部, 助手 (40379681)
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キーワード | 骨形成 / Smad3 / Lunt / 副甲状腺ホルモン / スタチン / グルココルチコイド / TGFβ / アポトーシス |
研究概要 |
骨芽細胞においてsmad3を介したWnt系のβ-cateninの蛋白そして転写レベルでの増強が副甲状腺ホルモン(PTH)のapoptosis阻害作用に直接関与することを見出した。次にTGF-β1型受容体キナーゼ(ALK-5)によりリン酸化される部位に変異を導入したsmad3の強制発現やALK-5阻害剤のSB431542を用いてこの機序について詳細に検討した。その結果、PTHはmRNA発現及び分解抑制の両者を介してβ-catenin levelを促進し、長時間での作用は、骨芽細胞の分化に抑制的に働くTGF-β依存性であり、短時間での作用にはTGF-βに依存しないSmad3が関与すること、そして後者がPTHの骨形成促進機序に重要であることを明らかにした。また異なる分化段階での骨芽細胞に対するsmad3の作用を比較検討した結果、未分化間葉系細胞の骨芽細胞への分化を抑制し、一方その後の骨芽細胞分化と成熟には促進的に作用することを見出した。一方、抑制性smadと位置付けられているsmad7の安定過剰発現骨芽細胞株の検討より、smad7は増殖、骨基質蛋白産生、ALP活性、石灰化のいずれも抑制すること、そしてsmad7もPTHの作用点のひとつであることを示す結果を得つつある。一方、骨形成活性の存在が注目されているスタチンが骨芽細胞において内因性TGF-βを誘導することによりsmad3発現を促進し、そしてスタチンのアポトーシス阻害作用にsmad3が重要な役割を担っていることを示す結果を得た。グルココルチコイドの骨形成抑制機序にsmad3の下流にあるWnt-β-catenin系の抑制が関与すること、そしてPTHはこの経路に作用することにより、グルココルチコイドの骨形成抑制に拮抗することを示す結果を得つつある。
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