1.骨芽細胞分化増殖に必須である転写因子Runx2とアンドロゲン受容体の相互転写抑制効果 ステロイドホルモンの骨代謝における役割を明らかにするために、ステロイドホルモン受容体とRunx2の相互作用について解析した。Runx2の発現により、ステロイドホルモン受容体を介する転写活性化は抑制された。これらのタンパク質の細胞内での局在を調べるために、GFP融合タンパク質を用いて観察したところ、Runx2は、リガンド依存性に形成されるアンドロゲン受容体の核内fociの形成を抑制することが明らかになった。一方、ARを発現させてリガンド処理を行うと、Runx2を介する転写活性化が抑制された。Runx2も核内でdotを形成するが、リガンドが結合したARの発現の有無で、 Runx2のdotのパターンが変化していた。これらの結果から、Runx2とARは、相手のタンパク質を、核内の局在すべき場所から引っ張り出すことで、転写活性化能をお互いに阻害し合っている可能性が示唆された。 2.高輝度YFP-cDNAライブラリーの作製および細胞への導入 ヒト培養細胞株であるHeLa細胞のmRNAからcDNA合成を行い、高輝度YFPであるVenusを融合したcDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリーを培養細胞株COS-7に、アンドロゲン受容体遺伝子を発現するプラスミドとコトランスフェクトして、リガンド処理を行ったあとに、特徴的な核内シグナルを示す細胞を回収することを試みた。しかしながら、核内に局在してfoci様のパターンを示す細胞は極めて少なく、細胞の回収は困難であった。
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