1.ステロイドホルモン受容体が形成する核内fociの形成意義に関する検討 ステロイドホルモン受容体のリガンド依存性foci形成が、転写に先立って起こるものではないことを明らかにし、その形成は細胞内のコアクチベーターとコリプレッサーの発現量の比に依存するものと推測された。 2.転写コリプレッサーN-CoRのドメイン解析 転写コリプレッサーであるN-CoRの様々な欠失ミュータントを作製したところ、中央部分の1133-1798アミノ酸に相当する部分が、ステロイドホルモン受容体の転写活性化抑制および受容体との共局在の双方に重要であることが明らかになった。 3.骨芽細胞分化増殖に必須である転写因子Runx2とアンドロゲン受容体の相互転写抑制効果 ステロイドホルモンの骨代謝における役割を明らかにするために、ステロイドホルモン受容体とRunx2の相互作用について解析した。Runx2とARは、相手のタンパク質を、核内の局在すべき場所から引っ張り出すことで、転写活性化能をお互いに阻害し合っている可能性が示唆された。 4.高輝度YFP融合cDNAライブラリーの作製および細胞への導入 ヒト培養細胞株であるHeLa細胞のmRNAからcDNA合成を行い、高輝度YFPであるVenusを融合したcDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリーを培養細胞株COS-7に、アンドロゲン受容体遺伝子を発現するプラスミドとコトランスフェクトして、リガンド処理を行ったあとに、特徴的な核内シグナルを示す細胞を回収することを試みた。しかしながら、核内に局在してfoci様のパターンを示す細胞は極めて少なく、細胞の回収は困難であった。
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