研究課題
基盤研究(C)
研究ではエストロゲン産生の律速酵素であるアロマターゼ酵素分子の翻訳後修飾に焦点を絞って、その翻訳後修飾反応の分子機構と調節機構、そしてその反応の生理的役割を解析した。種々のアロマターゼ誘導因子存在下で培養された細胞におけるアロマターゼ酵素分子のウエスタンブロット解析よりリン酸化による翻訳後修飾の可能性が示唆された。さらに細胞内アロマターゼタンパク質の存在量のELISA解析により細胞内分解速度(代謝回転速度)が種々の因子により修飾される可能性が示唆された。そこでこの反応過程を厳密に分離・分析するために、in viro再構成系による解析を行なった。小胞体画分のアロマターゼは、37度でインキュベートした場合、ATP-Mg^<2+>の存在下で活性及び酵素量の低下を認めた。この低下は小胞体分画単独のインキュベーションならば12時間後でも僅かだったが、細胞質画分を添加することにより低下は急激に起こった。それと同時に高分子両側に新たにアロマターゼ免疫陽性バンドが出現した。またシャペロンタンパク質HSP90の阻害剤、Geldanamycinによりこの分解は阻害された。しかしながら精製アロマターゼをこの系に加えても高分子量化や分解消失は起こらないこと、また小胞体膜に局在するアロマターゼの分解も低濃度のコール酸の添加により起こらなくなることより、細胞内小胞体に局在するアロマターゼは、小胞体膜構造依存性で細胞質成分と協調的に機能する分解機構により量的調節がなされていると考えられる。現在、この反応過程を詳細に解析するためにFLAG-tagが付加されたアロマターゼを作成し、この分解過程に関与する細胞内構成成分の同定・単離を行なっている。
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