研究概要 |
1)Notchシグナルの減弱した状態での造血幹細胞の評価 Notch1+/-Notch2+/-マウスあるいはMx-Creを用いたコンディショナルノックアウトによるNotch1-/-Notch2-/-マウスでの造血幹細胞をFACS(CD34(-)KSLの定量)にて評価した。その結果定常状態、5-FU投与後の幹細胞の活性化状態のいずれにおいても、造血幹細胞の量に差は認められなかった。 またNotchシグナルの阻害薬であるg-secretase inhibitor(GSI)をin vivo投与でも造血幹細胞の量に変化は認められなかった。これらは、FACSによる表面抗原による解析および移植の系にて確認した。 2)in vitro培養での造血幹細胞の増幅におけるNotchシグナルの関与についての検討 我々はFGF1による造血幹細胞の増幅を定量的に評価し報告したが(Crcareva, et. al. Experimental Hematol.2005 in press)、その際GSIによりNotchシグナルを阻害することにより造血幹細胞を含むKSL分画の増幅が起こらないことを見い出した。 このように、in vitroとin vivoにおいて造血幹細胞のNotchシグナルへの依存性が異なることが判り、現在、1)ニッチにおける他のシグナルとのクロストーク、2)造血幹細胞の細胞周期の違いという観点から、胎生期から生直後の造血幹細胞が増殖期にある時期におけるNotchシグナルの役割について検討中である。
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