研究概要 |
本研究は、接着分子L-セレクチンの多型部位を含む新規マイナー組織適合抗原ペプチドに特異的かつ増殖活性の高い細胞傷害性T細胞を誘導し、難治性白血病治療に用いることを最終目標としている。最初に、HLA一致ドナーからの同種造血幹細胞移植が予定されているHLA-A*2402陽性白血病患者およびドナーのL-セレクチンアレルの同種多型を、PCR-RFLP法により決定した。HLA-A*2402を保有し、患者のL-セレクチンがS/S型またはP/S型、ドナーのL-セレクチンがP型の白血病患者由来の白血病細胞および末梢血・ドナー由来の末梢血を採取し保存した。患者およびドナーから採取した末梢血単核細胞を、EBウイルス産生株B95-8の上清を加えて培養することにより、lymphoblastoid cell line(LCL)を作成した。同時に患者の骨髄を液体培養することにより線維芽細胞も作成した。次に、HLA-A*2402分子への親和性を考慮し、L-セレクチン多型部位を含む9アミノ酸(P型,S型各9種類)を全て合成した。IFNγ産生能を指標に候補ペプチドをスクリーニングし、HLA stabilization assayを利用して、ペプチドとHLA-A*2402分子との結合性をフローサイトメトリーで確認した。さらに、L-セレクチン多型部位を含む100bpの遺伝子とHLA-A*2402遺伝子を導入したT2-A24/L-selectin細胞に対する細胞傷害活性誘導能を指標に、S2ペプチドがマイナー組織適合抗原として機能することを確認した。S2ペプチド特異的細胞傷害性T細胞を、S2ペプチド/HLA-A24テトラマーと反応させ、PE蛍光色素の強さをフローサイトメトリーで解析し、T細胞レセプターとS2ペプチドとの結合力を評価した。
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