研究課題/領域番号 |
18591057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田所 誠司 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80403062)
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研究分担者 |
冨山 佳昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80252667)
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | インテグリン / シグナル伝達 / 血小板 / 腫瘍 / 分子標的治療薬 |
研究概要 |
【新規分子標的抗血小板薬、抗腫瘍薬の開発】 インテグリンαIIbβ3の活性化に必要なtalinとインテグリンβ3側との結合を阻害するペプチドの合成に成功した。β3特異的に結合するtalin側のアミノ酸残基を含むペプチドと、talinと特異的に結合するβ3側のアミノ酸残基を含むペプチドを合成した。ペプチドのN端にパルミトイル基をつけ、細胞膜にとどまらせた。これらのペプチドは、トロンビン受容体活性化ペプチドであるPAR1-APやPAR4-APの刺激によって惹起される血小板凝集を、濃度依存性かつ配列特異的に抑制した。また、αIIbβ3のリガンド類似抗体であるPAC1の結合を阻害した。これらのペプチドによる血小板凝集能の抑制効果は、洗浄血小板のみならず、platelet rich plasmaでも認められたため、今後、新規分子標的薬への展開が期待できる。 【インテグリンαIIbβ3活性化シグナルの解析】 インテグリン結合タンパクの一つであるα-actininが、アゴニストからのinside-outシグナルによって瞬時にインテグリンから離れるという新たな知見を得た。血小板において、PARからのシグナルによってα-actininが脱リン酸化し、その局在が変化して、αIIbβ3が活性化されることが観察された。このα-actininの挙動はαIIbβ3の活性化様式と連動していた。そこで、ヒト巨核球系細胞株のCMK細胞にα-actininを過剰発現させてαIIbβ3の活性化を検討した。過剰発現したα-actininによって、PAR1からのシグナルによるα-actininとαIIbβ3の解離が抑えられ、αIIbβ3の活性化が抑制された。前述の合成ペズチドを用いてαIIbβ3の活性化におけるα-actininの役割を解析した。PAR1-APよる刺激後2分では、α-actininはαIIbβ3から解離していたが、合成ペプチドによるtalinとβ3との結合阻害のため、αIIbβ3の活性化は抑制されていた。以上、α-actininはインテグリンαIIbβ3の活性化のinside-outシグナルに関与し、αIIbβ3の非活性化状態を維持する分子の一つであることが示唆された。インテグリン非活性化型を維持するメカニズムを解明することは、インテグリン活性化機構の解明につながり、インテグリンの活性化に関与している病態の制御に展開できると考える。
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