ITP患者からGPIIb由来ペプチド(#429-443)を特異的に認識するHLA-DR*0405拘束性CD4陽性T細胞株を樹立した。このT細胞は血小板を自己樹状細胞に取り込ませて抗原提示させた系においても細胞増殖反応とサイトカイン産生を示したことから、GPIIb#429-443が自己反応性T細胞エピトープとなりうることを証明した。この手法を用いて複数のITP患者からGPIIb反応性T細胞を分離することができた。また、T細胞の抗GPIIb抗体産生に対するヘルパー活性を評価するために必要となる抗GPIIb抗体産生量の測定法として、抗GPIIb-IIIaモノクローナル抗体を用いた高感度ELISA測定系を確立することができた。T細胞のヘルパーおよび細胞傷害活性とエピトープ解析については、私どもがこれまでに行ってきた造血器腫瘍関連抗原特異的細胞傷害性T細胞の解析法を適用することとした。また、今年度においては、GPIIb-IIIaの活性化に関与しているとされているGPIIIa I-like domainのβ6-α7loop regionにおいて、活性化に直接関わっているアミノ酸領域を同定した。β6-α7 loopを構成するアミノ酸を一つずつアラニンに置換した変異αIIbβ3を作成し、これをCHO細胞に発現させ、それぞれのリガンド結合能を評価した。その結果、S337とN339という二っのアミノ酸がαIIbβ3の活性調節に重要であることを明らかにした。また、これらのアミノ酸はαVβ3インテグリンの活性調節にも重要であることを示した。さらに、これらのアミノ酸を含む領域はすべてのインテグリン間で高度に保存されており、インテグリン活性化に共通の制御領域である可能性が示唆された。
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