研究課題/領域番号 |
18591070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大畑 雅典 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (50263976)
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研究分担者 |
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
執印 太郎 高知大学, 医学部, 教授 (80179019)
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キーワード | メチル化遺伝子 / 造血器腫瘍 / 悪性リンパ腫 / Epstein-Barrウイルス |
研究概要 |
1.TGF-βスーパーファミリーに属するBMPはリンパ球の分化、増殖抑制、アポトーシスに関与する。その中でもプロモーター領域にCpGを多く含むBMP-6遺伝子についてメチル化解析をリンパ腫症例(90症例)とリンパ腫細胞株(30株)で行った。メチル化はCOBRA法およびBisulfite sequencing法により、遺伝子発現はRT-PCR法とWestern blot法により解析した。 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の60%(21/35)、バーキットリンパ腫(BL)の83%(5/6)でBMP-6遺伝子がメチル化されていた。一方、調べた他の組織型(濾胞性リンパ腫、マントルリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、ポジキンリンパ腫など)49例中、メチル化が認められたのはわずか1例(2%)であった。メチル化が認められた症例では、BMP-6の発現(mRNA、蛋白)が抑制されていた。細胞株での解析では、DLBCL細胞株で100%(7/7)、BL細胞株で86%(12/14)でメチル化が認められた。特にEpstein-Barrウイルス陽性BLでは高率にBMP-6遺伝子がメチル化されていた。健康人末梢血単核球、反応性リンパ節組織ではメチル化は認められなかった。 考察・結論:DLBCLやBLなど、より悪性度の高いリンパ腫で、BMP-6遺伝子のメチル化およびそれに伴う遺伝子発現の不活化が高率に認められた。そのメチル化頻度はリンパ腫の組織型に関連していると考えられた。 2.上記の遺伝子メチル化研究と併行して、本年度は様々な造血器腫瘍の病態解明の研究、例えば、造血器腫瘍における染色体異常解析、癌遺伝子と腫瘍増殖のメカニズム、ウイルスなどの微生物と造血器腫瘍発症についての研究を行い、その成果を報告した。
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