研究概要 |
1、MEL1Sが有するGATA2遺伝子発現に関する転写制御能を調べるため、MEL1S野生およびCtBP非結合(AS)変異体を発現させた293T細胞に対し、同族EVI1が結合するとされる、GATA2遺伝子5'非翻訳嶺域上流6〜7kbを用いたレポーターアッセイを行った。野生型では30-40%、AS変異体では10-20%の発現低下を認めた。介在する種々のファクターの影響をみる必要があるが、MEL1SによるGATA2遺伝子の発現抑制が示唆された。 2、MEL1SがHDAC-1(2,3も)と相互作用することを以前報告したが、MEL1S上の結合部位を特定するため、全長MEL1Sから種々のドメイン欠失変異体(FLAGタグ)を作製、HAタグHDAC2との相互作用について293T細胞での発現産物を免疫沈降Western法で現在解析中である。またAS変異体との解析から、CtBP2の有無に関わらず相互作用しうることも報告した。293T細胞でFLAGタグCtBP2へのHAタグHDAC2の結合を調べた結果、HDAC2は検出されず、MEL1SとHDAC2との相互作用にはCtBP2に替わる新たなコファクターの関与が示唆された。 3、G9A(EHMT2)は転写抑制に関与するヒストンH3-Lys9メチル基転移酵素であり、MEL1と同族のPRDI-BF1やPRISMとの相互作用が最近報告された。t(1;3)転座を有するヒト白血病細胞およびマウスIL3依存性骨髄細胞(L-G3)-MEL1S安定発現株に関してG9A特異的プライマーを用いたRT-PCR法による解析を行い、両細胞にG9Aの発現を認め、ヒトではG9Aのメチル基転移活性に必須とされる複合体パートナーEHMT1の発現も明らかとなった。現在、MEL1SによるGATA2遺伝子発現制御についてCtBPにかわる替わる候補としてG9Aとの相互作用を検討中である。
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