研究課題
基盤研究(C)
インテグリンはα鎖とβ鎖のヘテロ2量体構造を有する1回膜貫通型の接着分子受容体である。この分子は静止状態と活性状態の存在が知られているが、両状態を調節するシグナル伝達機構の詳細は不明である。β3インテグリンはαIIbβ3およびαVβ3より構成されるインテグリンファミリーである。αIIbβ3は障害内皮下組織への血小板の接着および凝集反応に必須の働きを担っている。一方、αVβ3は血管新生、腫瘍浸潤・転移あるいは創傷治癒に重要な分子と考えられている。本年度は以下の実験に取り組んだ。エネルギー依存性に活性状態にあるキメラインテグリンαIIbβ3を恒常的に発現するCHO細胞株を用いて化学変異原(EMS)を暴露させ、ゲノムワイドに変異を導入した。次に、活性状態から非活性状態となるキメラインテグリンを有する細胞集団を、セルソーターにより分取した。分取した細胞は限界希釈法によりクローン化した。クローン化した細胞に関して、新たにキメラインテグリンαIIβ3を一過性に過剰発現させ、依然として非活性状態であるクローン細胞を選別した。また、獲得した全てのクローン細胞にRT-PCRを用いたシークエンス解析を行い、キメラインテグリンに変異がないことを確認した。次に、EMS処理クローン細胞にcDNAライブラリーをトランスフェクションし、発現タローニングを行った。これまでのところ、非活性状態のキメラインテグリンαIIbβ3を活性状態に誘導するシグナル分子を1つ同定した。また、発現クローニングに用いたクローン細胞において、同定した分子の塩基配列を解析したところ、両方の対立遺伝子に停止コドンの挿入を確認できた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Blood 107・8
ページ: 3161-3166
Blood 107・4
ページ: 1737-1738
Int J Hematol 84・5
ページ: 387-397
Arterioscler Thromb Vasc Biol 26・1
ページ: 224-230