研究課題
基盤研究(C)
研究協力者の岡島史和教授(群馬大学生体調節研究所)より供与されたプロトン感知性受容体OGR1ノックアウトマウスを用いて、卵白アルブミン(OVA)感作によるアレルギー性気管支モデルを作成し、野生型マウスと比較検討を開始した。ノックアウトマウスはBlack 6マウスであり、Black 6マウスではBalb/cマウスに比べてOVA感作気管支喘息モデルを作成した場合、気管支肺胞洗浄液中への好酸球、リンパ球の集積、メサコリン吸入による気道抵抗によって評価される気道反応性(気道過敏性)の亢進の程度がいずれも軽度である。そのため、OGR1ノックアウトマウスをBalb/cマウスとの交配を繰り返し、Balb/cマウスのOGR1ノックアウトマウスを得て、現在、野生型マウス(Balb/cマウス)とOGR1ノックアウトマウスを比較している。また、ヒト気管支平滑筋細胞では、細胞外液を酸性にするとIL-6が産生された。この作用はOGR1のsiRNAを導入し、OGR1の発現を阻害することにより抑制され、気道平滑筋細胞においてOGR1がサイトカイン産生に直接関与する可能性が示唆された。これらの研究と併行して、抗炎症作用を有する脂質メディエーターとして最近注目されているResolvin E1(エイコサペンタエン酸由来の脂質)のアレルギー性気管支モデルにおける効果について検討した。その結果、Resolvin E1はOVA感作マウスにおいて、気管支肺胞洗浄液中や気道組織への好酸球、リンパ球の集積、気道上皮の杯細胞形成、気道過敏性を抑制することを見出し、その作用機序の一部としてOVA特異的IgE産生の減少、IL-13の産生抑制がみられることを証明した。
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Biochemical and Biophysical Research Communications 367
ページ: 509-515
Biochem. Biophys Res Commun 367