研究課題
基盤研究(C)
関節リウマチ(RA)は関節滑膜を病変の主座とする原因不明の全身性炎症性疾患で、わが国の有病率は0.5〜1%と推定されている。その成因解明に向け、自己免疫異常、マクロファージのサイトカイン発現異常、滑膜線維芽細胞の形質転換などの研究が進展している。腫瘍壊死因子(TNF-α)を頂点とする炎症性サイトカインカスケードの形成には、マクロファージの持続的活性化が関与する。S100タンパクファミリーは細胞内に分布し、多様な細胞機能を調節する陽イオン結合性タンパク群であるが、活性化により細胞外に分泌あるいは放出され、サイトカイン様活性を発揮する。ヘテロ二量体S100A8/A9タンパクは、主に好中球や単球など貪食系細胞に発現される。本研究では、RA滑膜におけるS100A8/A9ペプチドの発現とそのマクロファージ活性化における役割を検討した。研究初年度に、RA滑膜マクロファージによるS100A8/A9ペプチドの過剰発現と、S100A8/A9ペプチドによるマクロファージの炎症性サイトカインや機能的表面分子の発現誘導を明らかにした。次年度には、他の炎症性サイトカインと同様に、S100A8/A9によるマクロファージ活性化には、NF-κBおよびp38キナーゼのシグナル伝達経路が重要な役割を担っていることを示した。しかし、このような炎症活性発現には、S100A8/A9受容体候補分子として挙げられている糖化最終産物受容体RAGEやCD36は関与しておらず、その受容体解明が今後の課題として残された。これらの結果は、RA滑膜マクロファージの自律的な活性化には、病態の複雑化とともに、炎症性サイトカイン以外にも多様な分子が関与し、S100A8/A9タンパクはそのような分子の一つであることを示唆している。
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