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2008 年度 実績報告書

劇症型Α群レンサ球菌感染症の発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18591112
研究機関九州大学

研究代表者

楠原 浩一  九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (20243941)

キーワード劇症型A群レンサ球菌感染症 / 動物モデル / 遅延死 / 莢膜 / hasA / LPS / ヒアルロン酸 / TNF-α
研究概要

A群レンサ球菌をddYマウスに筋注すると、感染の急性期から回復し、外見上は一旦健康を取り戻すにもかかわらず、約3週以降に敗血症や軟部組織壊死を伴って突然死亡し始める。研究代表者らはこの死を「遅延死delayed death」と命名し、劇症型感染症の動物モデルであると考えた。
平成19年度までの研究では主に以下のことが明らかとなった。
(1)菌血症を起こした菌は、莢膜を強く発現している。
(2)莢膜成分であるヒアルロン酸を合成するhasA遺伝子をノックアウトした菌は、遅延死を起こさない。
(3)LPSは遅延死を誘導する。莢膜成分であるヒアルロン酸は遅延死を誘導しない。
(4)遅延死マウスにおいて、血清LPSは増加していない。ヒアルロン酸も有意な増加は認めない。
(5)遅延死マウスの血清中サイトカインは、急性期に死亡したマウスと比較して、TNF-α, IFN-γ, IL-10, IL-12p70が有意に高値である。なお、高TNF-α血症は死亡直前に発生している。
(6)TNF-αは遅延死を誘導するが、溶連菌の増殖そのものには影響を及ぼさない。
平成20年度は次のことが明らかとなった。
(1)抗TNF-α抗体により死亡は阻止できない。
(2)A群レンサ球菌と同様に遅延死を起こすS.agalactiae4株について細菌学的検討を行ったが、スーパー抗原遺伝子(speA, speB, spec, speG, smez2)は保有していなかった。
以上より、遅延死の病態に最も深く関与しているのはサイトカインストームだといえそうである。急性死の場合と異なり、炎症性サイトカインのみならずIL-10に代表される抗炎症性サイトカインも増加しているのが特徴的で、これが免疫機能低下を引き起こし、莢膜発現菌の自由な増殖を許している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] High mobility group box 1 (HMGB1)and macrophage migration inhibitory factor (MIF) in Kawasaki disease.2008

    • 著者名/発表者名
      Hoshina T, Kusuhara K, et al
    • 雑誌名

      Scand J Rheumatol 37

      ページ: 445-449

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Concerted action of lactate oxidase and pyruvate oxidase in aerobic growth of Streptococcus pneumoniae : role of lactate as an energy source.2008

    • 著者名/発表者名
      Taniai H, Saito M, et al
    • 雑誌名

      J Bacteriol 190

      ページ: 3572-3579

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Onset of streptococcal toxic shock syndrome is accelerated by bruising in a mouse model.2008

    • 著者名/発表者名
      Seki M, Saito M, et al
    • 雑誌名

      Microbial Pathogenesis 44

      ページ: 339-343

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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