研究課題
我々のこれまでの一連の研究により、RP105分子を欠損したB細胞は、自己抗体の産生に直接関わり、SLEやシェーグレン症候群(SS)、皮膚筋炎(DM)などの自己免疫疾患の病態形成に重要な役割を演じていることが明らかになった。このような成果を背景に本年度は以下のような研究結果を得た。1.SS患者の唾液腺組織の免疫組織染色により、RP105(-)B細胞の浸潤、増殖が著明で、その程度は末梢血のRP105(-)Bの増加よりも著明で、血清Ig濃度とも相関することを明らかにし、本細胞は病変局所でのIg産生や組織破壊に関っていることを示唆した。2.CD40LシグナルのRP105(-)B細胞への影響を検討したところ、3量体sCD40Lの強い刺激で、RP105(-)B細胞が特異的に増加し、本細胞の増殖、維持に強力なB細胞刺激因子が必要であることが判明した。3.RP105欠損マウスにおけるコラーゲン関節炎(CIA)では、その重症度、発症率がともに増し、RP105分子の免疫調節作用が示唆され、ヒトのSLEやSSの結果と一致するものであった。4.RP105(-)B細胞に特異的に発現する新規分子を、DNAチップ解析によって行なったところ、BCMAが特異的に高発現していることが明らかになり、その他、2種類の新規分子が同定された。現在、これらの分子に対するモノクローナル抗体を作成中である。これが実用化されると、SLEなどの自己免疫疾患の治療に新しい道を開くことになり、大いに期待される。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Clin Exp Rheumatol (印刷中)
Ann Rheum Dis 66
ページ: 320-324
Scand J Infect Dis 39
ページ: 577-583