研究課題/領域番号 |
18591117
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
井田 弘明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60363496)
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研究分担者 |
江口 勝美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30128160)
川上 純 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325639)
荒牧 俊幸 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (80404284)
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キーワード | TNFレセプター / TRAPS / TNFRSF1A遺伝子 / 遺伝性周期性発熱症候群 / 疫学調査 |
研究概要 |
TNFレセプター異常症のひとつであるTNF-associated periodic syndrome(TRAPS)は、TNFが病態の中心と考えられる遺伝性周期性発熱症候群である。全国15施設を対象にTRAPS患者の疫学調査を行い、対象施設およびTRAPS疑いとして相談を受けた施設の症例の解析を行い、TRAPSの可能性を検討、TRAPS診断基準、治療法についても考察した。(方法)I.TRAPS全国疫学調査:症例は周期熱症例49例(男性19例、女性30例)。病歴聴取、発熱時の血清サイトカイン測定、同意が取れた症例はTNFRSFIA遺伝子検索を行った。また、他の遺伝性自己炎症性疾患に当てはまる症例がないか検討した。さらに、論文発表、学会発表で本邦におけるTRAPS患者の突然変異を調査した。II.診断基準の検討:Hullらが2002年に提唱した診断基準が本邦の症例にあてはまるか検討した。(結果)I.全国疫学調査:1)発熱時の血清が得られた43例の検討では、27例にTNFα値の上昇がみられた。50pg/ml以上の症例が9例あった。2)遺伝子検索34例の検討では、エキソン2、3、4、6-7に突然変異はみられなかった。3)遺伝子検索34例中3例にMEFV遺伝子の突然変異がみられた。4)2例に新しい遺伝性自己炎症性疾患(中條病)と考えられる症例が存在した。5)本邦における報告があったTRAPS患者は、6家系17例で、突然変異は5カ所(C30R、C30Y、T611、C70S、C70G)であった。II.診断基準の検討:本邦のTRAPS患者では、欧米で必発の胸痛、腹痛が少ない傾向があった。(結論)本邦においてTRAPS患者の発見は、増加しているが、突然変異のある症例は少ない。TRAPSの病因解明とともに診断基準の確立が望まれる。
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