【目的】関節リウマチ(RA)は続発性骨粗鬆症を来たす。FGF-2は、RA関節滑膜線維芽細胞(RASF)より産生されRA病態の中心的分子である。FGF-2シグナル伝達において不可欠なco-receptorとして機能するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は、RASF上に強く発現しており、この過剰発現したHS糖鎖の撹乱による骨代謝への効果を検討した。 【方法・結果】(1)FGF-2はRASFの増殖を増強し、RASF上のRANKLとICAM-1の発現を増強した。(2)FGFR-1発現はRAと変形性関節滑膜線維芽細胞(OASF)で同程度だが、GSPGはRASFで強く発現を認めた。(3)滑膜でのHSPG発現は、OAでは血管周囲のみだが、RAでは滑膜自体にも強く分布した。(4)RASF上のHSをヘパリナーゼ等で酵素処理すると、FGF-2依存性の細胞増殖、RANKL発現誘導は阻害された。(5)末梢血単核球とRASFの共培養での破骨細胞形成は、FGF-2中和抗体、ICAM-1抗体、OPGの添加、およびRASF上のHS酵素処理により著明に抑制された。(6)グリコサミノグリカンの人工的伸張因子であるβ-Dxylosideを改変し増殖因子の結合性を低下させるXy1-NapOHを用いて、HS糖鎖の進展を阻止しFGF-2とHS糖鎖の結合を阻害すると、細胞増殖と破骨細胞形成が阻害された。 【考察】FGF-2は滑膜細胞のみならずRASF上のRへNKLとICAM-1の発現誘導を介して、破骨細胞形成促進、続発性骨粗鬆症を引き起こす。RASFに特異的に発現するHSPGは、FGF-2シグナル伝達を制御しているが、現在までFGF-2のco-receptorであるHS糖鎖に着眼したRA制御の報告は無い。ヘパリナーゼ等より毒性が少ないXy1-NapOHによるHS糖鎖撹乱は、細胞増殖と破骨細胞形成を抑制しRA続発性骨粗鬆症抑制に有力な治療制御標的である。
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