我々は、間質性肺炎、肺線維症患者肺胞気管支洗液中(BALF)のガレクチン-3濃度が正常に比べ増加していること、及び、BALF中のマクロファージのガレクチン-3産生が正常対照にくらべ亢進していることを明らかにした。さらにマクロファージをTNF-α、IL-8にて刺激するとガレクチン-3産生が誘導されることをあきらかし、間質性肺炎、肺線維症成立機構におけるガレクチン-3の関与を明らかにした。 つぎに、我々は肺線維症モデルを検討したが、良好なマウスが得られずプロトコールを変更した。我々は以前ガレクチン-3がFcγRを介したマクロファージ(MΦ)の貪食能に重要な役割をはたしていることを示した。MΦはFcγRからの刺激で活性酸素を産生して肺線維症において肺胞上皮障害などの重要な役割を持つ。そこで我々は野生型とガレクチン-3欠損マウスから骨随由来MΦを培養して抗体を用いFcγRに刺激を加えたところ、ガレクチン-3欠損MΦでは野生型と比べ著明に活性酸素の産生が低下し、細胞膜直下のf-actinのredistributionも同様に著明に低下していた。Western blottingを用いたところ、ガレクチン-3欠損MΦではFcγRのクロスリンク後の細胞内チロシンリン酸化が低下、FcγRに会合しているLynのリン酸化とその下流のJNK1の活性化が低下していることを見出した。それたの分子の細胞内局在を蛍光免疫染色とconfocal microscopyを用いて検討したところ、ガレクチン-3は細胞膜直下にredistributionしてきたf-actinと共局在していることが明らかになった。同部位には様々なシグナル伝達分子が集まっており、以上の結果からガレクチン-3が細胞内シグナル伝達を介してマクロファージの活性化に関わっていることが示唆された。
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