研究概要 |
昨年度に脳磁場計測を行った、109例のてんかん症例に対して脳磁場解析を行った。脳磁場測定には、306ch全頭型脳磁揚計測装置(Vector View system, Neuromag Inc, Helsinki)を用いた。 症例におけるてんかん症候群分類は、国際抗てんかん連盟による発作型・てんかん症候群分類(1987)に従うと、症候性局在関連てんかん85例、特発性局在関連てんかん15例、症候性全般てんかん5例、特発性全般てんかん2例、未決定てんかん2例であった。 昨年度まで従来の単一双極子法を用いた、等価性電流双極子(Equivalent current dipole: ECD)の推定、更に、単一双極子法にて解が求められない症例に対して、dynamic statistical parametric mapping(dsPM)を用いた解析を行った。ECD法ではてんかん原性焦点の局在が得られる、83例(症候性局在関連てんかん65例、特発性局在関連てんかん12例、症候性全般てんかん3例、特発性全般てんかん1例、未決定てんかん2例)の検討が可能であった。更にdSPMでは、脳磁場分布が広汎に存在する、16例(症候性局在関連てんかん10例、特発性局在関連てんかん3例、症候性全般てんかん2例、特発性全般てんかん1例)の検討が可能であった。本年度は、これらの解析によっても解が得られない、低振幅棘波律動、広汎性棘波律動、棘・徐波律動、徐波律動を磁場反応として持つ症候性局在関連てんかん10例に対して、短時間フーリエ変換を用いて、特異的に出現する周波数帯域の局在を求めた。これらの所見は、後に施行した頭蓋内脳波所見と一致し、前頭葉てんかん症例では一側半球より先行して出現する棘律動の出現が見出され、確定診断に至った。これらの手法を用いることにより、全てのてんかん症候群に対して、脳磁図検査が可能になった。
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