研究概要 |
メチルマロン酸血症はメチルマロニルCoAムターゼの機能低下による代表的な有機酸代謝異常症であり、わが国での頻度は約10万人に一人と先天代謝異常症の中では比較的頻度が高い。メチルマロン酸血症はメチルマロニルCoAムターゼ自体の異常とコバラミン合成系の異常に大別される。 タンデムマスによる新生児スクリーニングの普及とともに、軽症型メチルマロン酸血症が今後見つかってくることが考えられる。この際に軽症型のなかには良性メチルマロン酸血症と分類される一群があり、これの本態がいまだ不明で本当に治療を要しないものかが判然としない。本研究では軽症・良性メチルマロン酸血症に関しメチルマロン酸血症発症にかかわる遺伝子の検索をとおして病態を解明し、さらに治療の要・不要に結びつけようとするものである。 全国より依頼のあったメチルマロン酸血症の患者検体より、臨床像および尿有機酸分析でメチルマロン酸の排泄が認められるものの典型例より少ない13例について軽症・良性型とした。これらに関しメチルマロニルCoAムターゼ遺伝子(MUT)、コバラミン合成系の異常として既に単離されているMMAA, MMAB, MMACHC遺伝子、メチルマロン酸エピメラーゼ(MCEE)の塩基解析を実施した。結果として有意な塩基置換は認められなかった。
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