研究概要 |
代表的遺伝性ニューロパチーであるCharcot-Marie-Tooth(CMT)病には多くの病因遺伝子が存在する。日本人におけるCMT病の遺伝学的な背景を明らかにするために各病因遺伝子について,翻訳領域をPCRで増幅しDHPLC法を用いて変異の有無を検索してきた。しかし,約半数の症例では,病因となりうる遺伝子変異は検出されない.これらの方法では検出されない変異の存在も考えられ,今年度は,DHPLC法による点変異の検索に加えて,遺伝子の量的変化の有無についてスクリーニングするシステム,multiplexligation-dependent probe amplification(MLPA)法を確立し検討した.MLPA法を用いて髄鞘型CMT病では,PMP22,MPZ,LITAF,GJB1遺伝子について,軸索型CMT病では,MPZ, GJB1, MFN2,HSP27, HSP22, NEFL, GARS, RAB7遺伝子を検索した.現在までに, DHPLC法により髄鞘型CMT病において, MPZ15例,GJB118例,PMP226例,EGR2 1例, PRX4例に遺伝子変異を認めた.軸索型CMT病については,MPZ 3例,GJB1 2例,MFN2 10例に遺伝子変異を認めた.また,2例のdistal HMNでHSP27の変異を認めた.MLPA法でのスクリーニングでは,髄鞘型CMT病でSouthern blot hybridization法もしくはFISHで重複を認めなかった3例,これらの検索が未検,もしくは不明例においても6例にPMP22の重複が検出された.軸索型CMT病では検索した遺伝子群の重複,欠失は検出されなかった.CMT病では,PMP22を除き,遺伝子の量的変化による症例は少ないことが明らかにされた.
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