研究課題
基盤研究(C)
自閉症は、対人関係の障害、コミュニケーションの障害、こだわり、限局された興味の範囲を主症状とする発達障害である。脳の機能異常がその根底にあることは明らかであるがおそらく脳の幅広い範囲にわたり、その異常が何であるかは不明のままであり、診断のための生化学的指標は見つかっていない。日本小児科学会認定小児科専門医、日本小児神経学会認定小児神経科専門医でもある申請者はこれまで長く自閉症診療に従事してきたばかりでなく、自閉症モデル動物を作成し、「自閉症は胎児期のセロトニン神経発生異常である」とする仮説を報告してきた。申請者は最近、自閉症患者で血清中の脳由来神経栄養因子(BDNF)高値を報告した(Brain & Development,26;292,2004)。その後筑波大学付属病院小児科発達外来受診中の、ヒト自閉症を含む発達障害患者からも同様のデータ、即ちセロトニン、BDNF,NT-4ほか神経栄養因子、神経ペプチドが異常値を呈している結果を得た。平成18年度は、これらのデータに基づき、疾患と関連があると確認された因子(BDNFほか)について、自閉症では知能障害がある群ない群、こだわりがきつい群そうでない群、薬剤(セクレチンやSSRI選択的セロトニン再取り込み阻害剤)が奏効する群しない群、などとの関連を調べた。現在のところこれらの因子と明確な関連は明らかにはなってはいない。一方本年度は、上述の自閉症診断のためのバイオマーカーについて、その生化学的基盤を知るために研究代表者の手によって作成された自閉症モデル動物によって調べた。脳内微少透析法により脳内のセロトニン濃度などを測定したところ、自閉症モデル動物ではセロトニン濃度が低かった。現在再検中である。
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クリニカルニューロサイエンス 24(3)
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Biochemistry 45(2)
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Brain and Development (印刷中)
BioPsychoSocial Medicine (印刷中)
日本臨床 (印刷中)